イオンモール熊本で起きた爆発事故をめぐり、コスメ・雑貨店「habita(ハビタ)」の従業員2人が、一度は屋外へ避難した後に店内へ戻っていたことが明らかになりました。
2人が戻るきっかけになったのは、会社側から伝えられた「売上金を金庫へ入れてほしい」という内容でした。
この連絡を最初に出したのは、株式会社ハビタの湯瀬剛二取締役営業部長です。事故当日に休みだったイオンモール熊本店の店長を通じ、出勤していた従業員へ伝えられました。
なぜ安全確認が終わっていない店内へ戻ることになったのか、イオン側の入館許可はあったのか、会社は遺族にどのような説明をしたのかが注目されています。
2026年8月5日時点のハビタとイオンの公式発表、主要報道で伝えられている内容をもとに、指示が出された経緯を見ていきます。
イオンモール熊本爆発でハビタ従業員2人に何があった?
イオンモール熊本では、2026年7月28日に発生した地震の後、館内から客や従業員を避難させていました。
ハビタの従業員2人も一度は屋外へ避難しましたが、その後、売上金を金庫へ保管するために店内へ戻り、爆発に巻き込まれました。
地震発生から爆発までの時系列
イオンの公式発表によると、熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生したのは、7月28日午後4時27分ごろです。
イオンモール熊本では、館内放送や巡回による安全確保と屋外への避難誘導を開始しました。午後5時には、客の避難誘導を終え、専門店やグループ従業員が屋外へ避難したことも確認しています。
避難後には、天井や外壁の一部落下、スプリンクラーの開放などの施設被害が確認されました。
その後、午後5時50分に爆発が発生しています。イオンの8月1日の発表では、この爆発による人的被害は死亡7人、負傷5人の計12人とされています。
【地震発生から爆発までの主な時系列】
| 時刻 | 起きたこと | ハビタ従業員の状況 |
|---|---|---|
| 午後4時27分ごろ | 熊本県熊本地方を震源とする地震が発生 | 店内の客を誘導し、屋外へ避難 |
| 午後4時41分ごろ | 休みだった店長がグループチャットで安否を確認 | 出勤していた従業員2人の無事を確認 |
| 午後5時ごろ | イオン側が客や従業員の屋外避難を確認 | 2人は施設外に避難していた |
| 午後5時17分ごろ | 湯瀬剛二営業部長が店長へ電話 | 売上金の保管について連絡 |
| 午後5時20分ごろ | 店長が出勤中の従業員へ電話 | 店内へ戻ることにつながる連絡を受ける |
| 午後5時35分ごろ | イオン側スタッフから店長へ電話があったとハビタ側が説明 | 2人が館内へ入ったとみられる |
| 午後5時50分 | イオンモール熊本で爆発が発生 | 2人が爆発に巻き込まれる |
時系列を見ると、2人は避難を終えた後、爆発が起きる約30分前に会社側から売上金に関する連絡を受けていたことになります。
大竹玖瑠美さんら2人は一度屋外へ避難していた
ハビタ側が熊本日日新聞の取材に説明した内容によると、事故当日にイオンモール熊本店へ出勤していたのは、亡くなった女性従業員2人でした。
2人は地震発生時に店内にいた客を誘導し、駐車場まで避難しています。休みだった店長も、午後4時41分ごろにグループチャットで2人の無事を確認していました。
亡くなった2人のうち、主要報道で名前が公表されているのは**大竹玖瑠美さん(22)**です。
大竹さんともう1人の従業員は、一度は安全な屋外へ避難していたものの、会社側から売上金についての連絡を受け、再び施設内へ入りました。
「売上金を金庫へ」と指示したのは湯瀬剛二営業部長
売上金を金庫へ保管するよう求める元の連絡を出したのは、株式会社ハビタの湯瀬剛二取締役営業部長です。
ただし、湯瀬営業部長が現場の従業員へ直接電話したわけではありません。休みだった店舗の店長を通じて内容が伝えられています。
湯瀬剛二営業部長から店長へ連絡
テレビ朝日系列の報道によると、湯瀬営業部長は午後5時17分、イオンモール熊本店の店長へ電話しました。
店長はその3分後の午後5時20分ごろ、店内で勤務していた従業員へ電話しています。この電話は約6分間続き、従業員2人はその後、施設内へ戻りました。

元の連絡を出した人物は湯瀬営業部長で、現場の2人へ内容を伝えたのは店舗の店長という関係です。
「可能であれば」という条件付きだったと説明
湯瀬営業部長は報道陣に対し、店長へ伝えた内容について、入館できるのであれば売上金を金庫に保管してほしいという趣旨だったと説明しています。
熊本朝日放送の報道では、湯瀬営業部長は「もし入れるのであれば」という条件を付けていたと話しています。
熊本日日新聞の取材には、イオンモール側の許可が得られた場合に入るよう伝え、入館できないと言われた場合は荷物を諦めるよう求めたと説明しました。
一方で、湯瀬営業部長は、売上金を金庫へ保管するよう求める連絡を自分が出したこと自体は認めています。
条件付きの表現だったとしても、会社幹部から店長を通じて伝えられた内容が、従業員2人の再入館につながった経緯があります。
ハビタ営業部長はなぜ売上金を金庫へ入れるよう伝えた?
湯瀬営業部長は、店舗に残された売上金が行方不明になることを心配し、金庫へ移せれば安心だと考えたと説明しています。
その判断には、湯瀬営業部長自身が避難していた菊陽町の店舗で、施設内へ戻ることができた経験も影響していました。
売上金が行方不明になることを心配した
テレビ朝日系列の取材で、湯瀬営業部長は、売上金がそのまま行方不明になる事態を考え、金庫へ戻せれば安心だと思ったと説明しています。
店舗の現金を保管しなければならないという意識から連絡したとみられますが、当時のイオンモール熊本では、天井や外壁の一部が落下するなどの被害が発生していました。
売上金の管理を求める連絡を出す前に、現場の被害状況や再入館の安全性がどこまで確認されていたのかは、今後の検証点となります。
菊陽町の店舗では荷物を取りに戻れた
地震発生時、湯瀬営業部長は菊陽町にある別の店舗にいました。
この店舗では、屋外へ避難した後、施設の支配人から営業中止と荷物の回収について案内がありました。
安全確認後に施設内へ戻り、売上金を金庫へ保管できたといいます。
湯瀬営業部長は、イオンモール熊本を含む他の店舗でも、施設側から同じような案内が出ていると思っていたと説明しています。
しかし、湯瀬営業部長がいた菊陽町では震度5強、イオンモール熊本では震度6強が観測されており、施設の被害状況にも違いがありました。
また、湯瀬営業部長はイオンモール熊本の現場にはいませんでした。
現地の情報は、休みだった店長が従業員から聞き取り、営業部長へ報告する形で間接的に伝えられていました。

別店舗で再入館できた経験が、被害状況の異なるイオンモール熊本店にも当てはめられたことが、今回の連絡につながったと報じられています。
イオン側はハビタ従業員の再入館を許可していた?
ハビタ側は、施設側の許可を得てから入館するよう伝えたと説明しています。
一方、イオン側は、避難後に館内へ戻ることを社内ルールで認めていなかったとしており、誰がどのような判断で入館を認めたのかは明らかになっていません。
ハビタ側は「イオンの許可を得てから」と説明
ハビタ側の説明では、湯瀬営業部長から店長へ、イオンモール側の許可が得られた場合に限り入館するよう伝えていました。
店長から従業員へも、イオン側から入ってよいと言われた場合に売上金を金庫へ保管するよう伝えたとされています。
湯瀬営業部長は、従業員が施設へ入る際には、イオンモール熊本の許可を得るよう伝えていたとも説明しています。
従業員はイオン側スタッフと話したとされている
熊本日日新聞が報じたハビタ側の説明によると、従業員2人は館内へ戻る際、イオン側の現場スタッフと話した後、1階中央北側の一般入口から入ったとされています。
ただ、従業員と現場スタッフが具体的にどのような会話をしたのかは分かっていません。
午後5時35分ごろには、イオン側のスタッフから店長へ、2人が入っていったため心配しているという趣旨の電話があったと、ハビタ側は説明しています。
現場スタッフと話したことが、正式な再入館許可を意味していたのかは、現在の発表からは分かりません。
イオンは誰が入館を認めたのか確認中
イオンモールでは、避難後は館内へ戻らないことが定められていたと報じられています。
イオン側は、従業員らがどのようにして館内へ戻ったのか、誰かが入館を許可していたのかを確認していると説明しています。

「現場スタッフと話したこと」と「イオン側が正式に再入館を許可したこと」は、同じ意味とは限りません。
誰がどのような権限で入館を認めたのかは、今後の調査や追加説明を待つ部分です。
ハビタは他の3店舗にも売上金を金庫へ入れるよう指示
売上金を金庫へ保管するよう求める連絡は、イオンモール熊本店だけに出されたものではありませんでした。
湯瀬営業部長は、熊本県内にある別の3店舗にも、同じ趣旨の連絡をしていたことを明らかにしています。
県内4店舗へ同様の連絡を出した
湯瀬営業部長は、イオンモール熊本店のほか、熊本県内の別の3店舗にも、施設側の許可が出て入館できるのであれば、売上金を金庫へ戻すよう伝えたと説明しています。
イオンモール熊本店を含めると、計4店舗に同じ趣旨の連絡を出したことになります。
他の3店舗では、実際に従業員が施設内へ戻り、売上金を回収して金庫へ保管したと報じられています。
他店舗では事故が起きなかったものの、施設ごとに揺れの強さや建物の被害、安全確認の状況は異なります。
湯瀬営業部長が自分のいた店舗で取られた対応を基準に、複数の店舗へ同様の連絡を出していたことが分かります。
他の3店舗名は公表されている?
同様の連絡が出された他の3店舗がどこなのかも気になるところです。
8月4日までに報じられた内容では、熊本県内の別の3店舗とされており、具体的な店舗名までは明らかにされていません。
ハビタの公式サイトには熊本県内の複数店舗が掲載されていますが、その中のどの店舗へ連絡したのかを公式発表のない段階で特定することはできません。
現時点で分かっているのは、イオンモール熊本店以外の3店舗にも同じ趣旨の連絡があり、実際に売上金が金庫へ保管されたことまでです。
habitaイオンモール熊本店の運営会社は株式会社ハビタ
「habita イオンモール熊本店」を運営しているのは、熊本市南区に本社を置く株式会社ハビタです。
コスメや生活雑貨を扱うセレクトショップを、九州各地の大型商業施設などに出店しています。
ハビタは九州に店舗を展開するコスメ・雑貨店
ハビタの公式サイトによると、株式会社ハビタは1976年に熊本で創業しました。
熊本、福岡、佐賀、大分、宮崎に店舗とオンラインショップを展開し、生活雑貨の企画製造や販売を行っています。代表者は上野景真氏です。
イオンモール熊本店は、熊本県上益城郡嘉島町にあるイオンモール熊本の2階で営業していました。
今回の事故では、上野景真代表取締役が会社代表として遺族へ謝罪し、湯瀬剛二取締役営業部長が元の連絡を出した人物として説明しています。
【今回の事故に関係する人物・組織と役割】
| 人物・組織 | 立場・役割 | 報道で伝えられている内容 |
|---|---|---|
| 湯瀬剛二氏 | 株式会社ハビタ取締役営業部長 | 売上金を金庫へ保管するよう求める元の連絡を出した |
| イオンモール熊本店の店長 | 事故当日は休み | 営業部長から受けた内容を出勤中の従業員へ伝えた |
| 大竹玖瑠美さんら従業員2人 | habitaイオンモール熊本店の従業員 | 一度避難した後、施設内へ戻り爆発に巻き込まれた |
| 上野景真氏 | 株式会社ハビタ代表取締役 | 会社代表として遺族へ謝罪した |
| 株式会社ハビタ | 店舗の運営会社 | 独自の地震対応マニュアルを持っていなかったと説明 |
| イオン側 | 商業施設の運営側 | 安全確認終了までは再入館を認めない運用だったと説明 |
この表からも、指示を出した人物、従業員へ伝えた人物、現場で行動した従業員はそれぞれ異なることが分かります。
ハビタには独自の防災マニュアルがなかった
今回の説明では、ハビタが地震発生時の独自の防災マニュアルを持っていなかったことも明らかになりました。
災害時には、店舗が入居しているビルや商業施設の指示に従う運用だったとしています。
災害時は施設側の指示に従う運用
湯瀬営業部長は、地震発生時のマニュアルについて、ビル側の指示に従うことになっており、会社独自のマニュアルは持っていなかったと説明しています。
一方で、イオン側は安全確認が終わるまで再入館を認めない運用だったとしています。
施設側の指示に従う方針でありながら、売上金の保管についてハビタ側から独自の連絡が出されたことになります。
災害時に売上金や私物をどのように扱うのか、施設側の正式な許可を誰がどのように確認するのか、人命を最優先にする判断をどの段階で徹底するのかについて、社内ルールの見直しが問われています。
ハビタ側の説明は当初と後で何が変わった?
ハビタ側は当初、従業員から荷物を取りに戻りたいという申し出があった後、売上金を金庫へ入れるよう頼んだと説明していました。
しかし、遺族とのやり取りの中で、実際には売上金についての連絡が先だったことを認めています。
当初は従業員の申し出が先と説明
当初の説明では、従業員が自分の荷物を取りに戻ろうとしたため、その際に売上金も金庫へ保管するよう会社側が依頼したという順番でした。
この説明だけを受け取ると、従業員自身が先に施設へ戻る意向を示し、その後に会社側が売上金の保管を頼んだようにも聞こえます。
実際は売上金についての連絡が先だった
テレビ朝日系列の報道によると、会社側が売上金を金庫へ戻してほしいと伝えた後、従業員から荷物を取りたいという話が出ていたことが分かりました。
湯瀬営業部長は遺族との面会で、売上金についての連絡が先だったことを認めています。
従業員が施設内へ戻ることになった理由に関わる部分だけに、説明の順番が変わった経緯についても注目されています。
ハビタは大竹玖瑠美さんの遺族に謝罪
ハビタの上野景真代表取締役や湯瀬剛二営業部長らは、大竹玖瑠美さんの通夜に参列し、遺族へ謝罪しました。
会社側は、売上金の保管について連絡したことを認めたうえで、従業員2人が亡くなる結果になったことについて謝罪しています。
上野景真社長と湯瀬営業部長が説明
熊本朝日放送によると、上野代表取締役は遺族へ深く謝罪しました。
湯瀬営業部長も、自身が売上金を金庫へ保管するよう求める内容を伝えたと説明しています。
大竹さんの母親は、会社側に対し、店へ戻らず帰るよう伝えてほしかったとの思いを語りました。
湯瀬営業部長はその後の取材で、自分が指示したことに間違いはなく、責任を感じているとの趣旨を話しています。
ハビタ公式サイトにも謝罪文を掲載
株式会社ハビタは8月3日、公式サイトに「令和8年熊本地震による当社従業員の被災について」とする発表を掲載しました。
発表では、地震とその後の爆発事故により、イオンモール熊本で勤務していた従業員2人が亡くなったことを報告し、遺族へ謝罪しています。
ただ、公式サイトの発表では、売上金を金庫へ保管するよう伝えたことや、従業員が施設内へ戻った詳しい経緯、他店舗への連絡については触れられていません。
湯瀬剛二営業部長の処分やハビタの今後は?
2026年8月5日時点では、湯瀬営業部長や店舗の店長に対する社内処分、役員辞任などについて、ハビタから詳しい公式発表は出ていません。
売上金について連絡した事実は本人が認めていますが、会社としての処分や法的な責任が決まった段階ではありません。
再入館の経緯が今後の焦点
今後は、ハビタ側の指示だけでなく、従業員2人がどのような会話を経て施設内へ入ったのかも調べられることになります。
ハビタ側はイオンの許可を得るよう伝えたと説明していますが、イオン側が正式に再入館を許可していたかどうかは分かっていません。
イオン側も、避難後に人が館内へ戻った経緯や、現場の責任者からどのような指示が出ていたのかを検証する方針です。
独自の防災マニュアルや再発防止策も注目される
ハビタには、地震発生時の独自の防災マニュアルがありませんでした。
今後は、災害時に売上金や商品、従業員の私物を回収しないことや、一度避難した従業員を店舗へ戻さないことを明文化するのかが注目されます。
また、施設側から正式な安全確認が出ていない段階では、管理職が現場へ業務上の依頼を出さない仕組みも焦点となります。
現時点で分かっているのは、湯瀬剛二取締役営業部長が、イオンモール熊本店を含む4店舗へ売上金を金庫に保管するよう求める連絡を出したことです。
イオンモール熊本店では、その内容が休みだった店長から従業員へ伝わり、一度避難していた大竹玖瑠美さんら2人が施設内へ戻りました。
一方、誰が正式に再入館を認めたのか、施設側と従業員の間でどのような会話があったのかは明らかになっていません。
ハビタが関係者の処分や独自の防災マニュアル、再発防止策を発表するのかについても、今後の追加説明が注目されます。

