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モーツアルト「魔笛」とフリーメーソン

フリーメイソンの歴史

18 世紀を代表する天才音楽家のモーツアルトは、1784 年12 月14 日、ウイーンにあったフリーメーソンのロッジ 「慈善」 に加わり、たちまち重要メンバーとなりました。

 

数週間のうちにマスター(職人)となり、やがてフリーメーソンと結びつく他の秘密結社「アジアの兄弟」 「イルミナティ」 などとの関連でも、彼の名前が登場するようになりました。

 

好奇心の強いモーツアルトは、これにもまだ足りず、他のロッジも訪問し、旅行中でもフリーメーソンの会合に参加する機会を逃すことはありませんでした。

 

作品タイトルからの関係性

モーツアルトの以下の作品には、既にタイトルからもフリーメーソンとの関係が明らかであります。

 

「徒弟の旅」 「ロジェ開会のための音楽」 「宇宙の魂」 「フリーメーソンの小カンタータ」 などがありますが、加えて重要なのは、1791 年9 月30 日初演の、 「魔笛」 であります。ドイツ語で、「魔笛」は、「Zauberfloete(ツァオバーフレーテ)」 と言います。

 

このオペラには様々な秘密のシンボルが散りばめられており、フリーメーソンの同志で、カリスマ的な大スター(親方)であった、イグナツ・フォン・ボルンが、ザラストロのモデルとされており、ザラストロとは、ゾロアスター教の教祖であるゾロアスター(ザラスシュトラ)を意味しています。

 

彼の教えは、お布施や生贄とか何かで神様のご機嫌を取り、他力本願で良い思いをしようとするのではなく、そういう事を一切やめて、良心・最高の道理・望ましい統治・聖なる敬虔・健全・不死という気を自分の内に養う事によって。より良い人生を自らが歩もうというものです。

 

神様は決して、「あーしなさい」、とか 「こーしなさい」とは言わない。 全て自分の自由意思において、善思・善語・善行という三つの教義にのっとって生きなさいというもので、自分の自由意志が大事なのです。

 

「魔笛」の中に、モーツアルトは、フリーメーソンの重要な数字や、これに対応する音符を用いており、こうして作品に盛り込まれた 「秘密のメッセージ」 が、大きな手がかりを与えています。

 

タミーノは、目的に達するため、自己を認識し、抑制しなければならず、彼は試練を通して 「修行の旅」 に出ているのです。その際、重要な美徳は、沈黙、人間性、友愛であり、これはフリーメーソンが標榜した美徳と同じものであります。

 

フリーメーソンでは、3と言う数字は重要で、その数字は魔力を持つとされ、フリーメーソンの燭台も、3本の枝を有します。牧神のような 「賢明なる愚者」 パパゲーノや、 「夜の女王」 の娘 パミーナにも、モーツアルトは魔術的世界のシンボルを盛り込んでいます。

 

「私は苦悩するために選ばれた」 という一節は、 「アジアの兄弟」 との結びつきを示唆しているものであります。

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魔笛

「魔笛」は、モーツアルトが1791 年に生涯最後に作曲したオペラで、台本は興業主・俳優・歌手のエマヌエル・シカネーダーが自分の一座のために書いたものです。

 

シカネーダーは当時ヨーロッパ各地を巡業していた旅一座のオーナーで、モーツアルトとはザルツブルク時代の知り合いであり、モーツアルトが所属したフリーメイソンの会
員でもあります。

 

シカネーダーはウィーンの郊外にあるフライハウス(免税館)内のヴィーデン劇場(Theater auf der Wieden)を管理し、一座の上演を行っていました。

 

オペラ 「魔笛」 のあらすじ

オペラ 「魔笛」 のあらすじは、 「邪悪な悪魔」 ザラストロによってさらわれた「夜の女王」 の娘パミーナを、王子タミーノが救けにゆくという設定で始まります。

 

幕が上がると、大蛇に追いかけられているタミーノが登場し、だじゃを槍で刺し殺し、タミーノを救った 「夜の女王」 の三人の侍女は、ザラストロがパミーナを自分の城に連れ去ったという話をします。

 

パミーナの肖像画を見て、その美しさに感動したタミーノは、即座にザラストロの打倒と、パミーナ救出に向かうことを決意。星輝く 「夜の女王」 が、雷鳴の轟く中に姿を現します。

 

彼女は、娘を奪われた母親の気持ちを切々とタミーノに語り、もしパミーノを救出できたなら、パミーノを妻としてよいと約束しました。タミーノは、鳥刺し男パパゲーノをお供とし、パミーナ救出の旅にでます。

 

その時、タミーノには魔法の銀の鈴(グロッケンシュピール)が与えられ、さらに三人の童子が案内役として、また守りの神として、この二人に供します。ザラストロの支配する神聖な森には、 「叡智の神様」 「理性の神殿」 「自然の神殿」という三つの神殿があります。

 

タミーノが、三人の童子に導かれ登場、彼は勇敢にもこの神殿に入ろうとしますが、「下がれ」 という声に拒絶されます。弁者が現れ、ザラストロは悪魔ではなく、 「叡智の神殿」 の支配者であることをタミーノに告げます。

 

やがて、ザラストロが登場し、パミーナは彼女の幸福の為に、彼女の母である 「夜の女王」 から引き離したことを告白し、「この二人をよそ者(タミーノとパパゲーノ)を私たちの試練の殿堂に導き、そして彼らの顔を覆うのだと」 命令すると、

 

二人の従者が粗布のようなものを持ってきてタミーノとパパゲーノの頭にかぶせますが、この「粗布」は「徒弟」参入儀礼にむかうフリーメーソン志願者のつける目隠しと同じです。

 

パミーナの救出劇は、ここでタミーノがさまざまな試練を切り抜けて、自己実現を目指すという密儀参入劇へと展開してゆきます。

 

志願者の位置は「北」の理由!?

第二幕の冒頭で、ザラストロは、王子タミーノがすでに、「神殿の北の門を遍歴」しているとしていますが、フリーメーソンのロッジに於いては、マスター、ウォーデンなどの役員の立つ位置は決まっており、志願者の位置は「北」と決まっています。

 

これは、参入前の志願者は、まだ太陽の光に耐えるだけの力がないと考えられているからです。「遍歴」という言葉は、ロッジの中を志願者が移動する行為が、通常「旅」と呼ばれていたことに対応します。

 

続いて、ザラストロは、王子タミーノが試練を受けるだけの徳性を持っている事を、僧侶たちの前で宣言します。

 

第一の僧 「彼は徳性を有していますか?」

ザラストロ 「徳性を有している」

第二の僧 「寡黙でもあるのでしょうか?」

ザラストロ 「寡黙である」

第三の僧 「善行をなしますか?」

ザラストロ 「善行をなす」

 

フリーメーソンのロッジ参入儀礼

フリーメーソンのロッジに行かれたことのある人なら分かると思いますが、現代でもこれと全く同じ問答が、参入儀礼として行われています。

 

「魔笛」の導入部では、ザラストロが悪魔とされていましたが、ここで設定は逆転し、邪悪で傲慢なのは、ザラストロではなく、「夜の女王」の方であったことが観客の前で明らかにされます。

 

ザラストロは、叡智にあふれたオシリス=イシス密儀の大司祭であり、彼はタミーノがパミーナにふさわしい人間となるように指導する義務を負い、「魔笛」の真の主題は、パミーナの救出ではなく、タミーノがパミーナにふさわしい人間へと成長してゆくプロセスにあったのです。

 

タミーノは、この後も弁者とこうした問答を繰り返し、死を覚悟して試練を受ける決意をします。

 

和音が三度鳴って、ザラストロはタミーノを神殿の前庭に導くよう指示しますが、これはロッジの扉を三度叩くことに符合し、「神殿の前庭」は、志願者がまず通される「反省の部屋」を表しています。

 

沈黙を守るように指示され、タミーノの試練が開始されますが、タミーノは三人の侍女の誘惑をしりぞけ、最初の試練を切り抜けます。

 

一方、ザラストロの城に侵入した「夜の女王」は、パミーナに短剣を渡し、ザラストロを殺すよう命じますが、パミーナが母の命令のことを話すと、ザラストロは「この神聖な殿堂には復讐などない」、と教団の理想を歌い上げます。

 

沈黙の試練を受けているタミーノは、パミーナと口を聞くことが許されず、パミーナは沈黙するタミーノを見て、彼がもう自分を愛していないと錯覚し、絶望のあまり短剣で自殺省とします。

 

三人の童子が自殺しようとするパミーナを救い、タミーナのところに連れて行きます。この段階から、パミーナはタミーノとともに試練に参加します。 自己実現の為の試練は、タミーノだけでなく、パミーナにも課せられるのです。

 

タミーノとパミーナは互いに手をとって、魔法の笛の力を借りることにより、もっと難しい火と水の試練を切り抜け、その時タミーノとパミーナは 「神々に等しい者」 として、ザラストロのオシリス=イシス密儀への参入を許されるのです。

 

長い夜が明け、輝く太陽への賛歌のうちに幕が閉じ、オペラ「魔笛」は終わります。

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